奥山河
okusanga
奥山河 美しき日々Ⅱ
写真展「奥山河 美しき日々」(2016年)の続編。2013年から2014年にかけてRPダイレクトプリントが終了する時期に、隔月刊『風景写真』のフォトコンテストで入賞したり口絵で掲載されたりした作品を数十枚プリントしておきました。このうちの残り半数を展示しました。往年のRPダイレクトプリントで仕上げた四季折々の奥三河の美しい風景を、全紙以上27点で構成。
1 わき立つ朝霧(わきたつあさぎり)
新城市連合方瀬地区には、山の斜面を利用した梅園が広がっています。周りの木々より一足早く、手前の梅が形良く咲き始めていました。肌寒い雨の中、背景に霧がわき立ち早春の雰囲気を盛り上げてくれました。
ハッセルブラッド903SWC/ビオゴンCF38mmF4.5/f16 1/3・1/4秒/RVP50/愛知県新城市/2010年2月28日9時45分
2 春心地(はるここち)
新城市旧鳳来町の大徳寺には、モクレン科の木々が沢山植えられていて、3月下旬にはよく様子を見に行きます。背景にあるシデコブシのピンクが、本格的な春を先取りしたモクレンの花を引き立てていました。
ハッセルブラッド503CW/SaゾナーCF250mmF5.6/f8 1/3・1/15秒/RVP100/愛知県新城市/2008年3月27日17時26分
3 見守られ(みまもられ)
新城市旧鳳来町の周昌院には、かつて立派な川津桜がありました。桜の下から上を見上げて、細枝に咲いた桜花を見守るように桜の樹形を背景に配しました。背景がうるさくない絞り値と細枝の桜花のピントを確保するため、アオリを使いました。
ハッセルブラッドフレックスBODY/ディスタゴンCF60mmF3.5/f4・1/15秒/PL/RVP50/愛知県新城市/2011年4月2日8時40分
4 春の瀬音(はるのせおと)
国道151号線沿い宇蓮川の川辺に、春になると立派なヤマザクラが咲きます。喫茶店「樹の花」の所です。川底が板敷きの模様で珍しく、更に段差があり滝になっています。その流れとヤマザクラの左下部と組み合わせて撮影しました。
ホースマン45FA/CMフジノンW150mmF5.6/f32 1/3・1秒/PL/RVP/愛知県新城市/2007年3月31日12時30分
5 萌ゆる季節(もゆるきせつ)
東栄町から津具へと抜ける道沿いで、新緑の中にぽつんと一本ヤマザクラが咲いているのを見つけました。春から初夏への移ろいを感じました。降る雨は木々に潤いを与え、流れてくる霧は渓谷を柔らかく包んでいました。
ホースマン45FA(6×12ホルダー)/アポシロナーN210mmF5.6/f22 2/3・1秒/RVP50/愛知県東栄町/2014年4月29日12時35分
6 清流にそえて(せいりゅうにそえて)
根羽村の桧原川では、ツツジやカワサツキが咲き、川の流れと組み合わせて撮影を楽しめます。撮影時には、このような流れの描写を狙ったわけではありませんでしたが、現像後に清流の雰囲気が出ていることがわかり感動しました。
ハッセルブラッド503CW/ディスタゴンCF60mmF3.5/f8半・1秒/PL/RVP50/長野県根羽村/2011年4月30日13時43分
7 霧中花(むちゅうか)
土砂降りの面の木園地は、霧に包まれていました。駐車場のすぐ横のミツバツツジは背景の処理が難しいので、いつもは撮影しませんが、この日は濃霧で雰囲気が良くて佇むミツバツツジを撮影できました。その代わりカッパの中まで濡れてしまいました。
マミヤRZ67ProⅡ/マミヤセコールズームZ100~200mmF5.2W(110)/f22半・4秒/RVP50/愛知県設楽町/2014年4月29日13時48分
8 花すだれ(はなすだれ)
茶臼山高原の小鳥茶屋付近で、緑葉と朱色の花が色鮮やかなヤマツツジを見つけました。画面左側の枝を外すと、ツツジの樹形のバランスが取れないのでやむなく入れましたが、色彩的な変化が生まれたのでこれはこれで良いかと思いました。
マミヤRZ67ProⅡ/マミヤセコールズームZ100~200mmF5.2W(140)/f16 2/3・1/2秒/RVP50/長野県売木村/2012年6月9日12時45分
9 寄り添って(よりそって)
茶臼山高原の矢作川源流を下った所です。登山道脇の倒木に花をたむけたようにヤマシャクヤクが咲いていました。花びらは開ききっていませんでしたが、雨に濡れてしっとりした雰囲気で撮影出来ました。
マミヤRZ67ProⅡ/マミヤセコールM65mmF4L-A/f32・3秒/RVP50/長野県根羽村/2009年5月24日9時30分
2010年 第8回 奥三河フォトコンテスト 優秀賞
10 深林への誘い(しんりんへのいざない)
東栄町は、その土地の9割以上が山林で、前田真三氏の「森厳杉林」でも知られています。杉林に霧が入り、草木の緑が映えるのは、やはり6月の梅雨の時期です。画面中央に林道を配して、森の奥深くに吸い込まれていくようなイメージで作画しました。
マミヤRZ67ProⅡ/マミヤセコールM65mmF4L-A/f22・8秒/PL/RVP50/愛知県東栄町/2009年6月5日11時35分
2012年 第8回 美しい風景写真100人展に出品
11 水辺のオブジェ(みずべのおぶじぇ)
7月初旬、根羽村の小戸名渓谷ではイワサツキが咲き始めます。いつもは、朱色の花と流れの組み合わせで絵づくりをするのですが、この時は面白いかたちの株を見つけました。まさしくモヒカン、たまにはこういう笑ってしまうような出合いもあります。
マミヤRZ67ProⅡ/マミヤULD M50mmF4.5L/f22半・1/3秒/RVP50/長野県根羽村/2009年7月4日6時55分
隔月刊『風景写真』2011年7-8月号 【特別招待席】掲載
12 咲き集う大文字草(さきつどうだいもんじそう)
大文字草を探しに設楽町栗島地区の栗島川へ行きました。ガードレール越しに川を見下ろすと、運良く大文字草が岩の上に咲いているのが見えました。まだ花の数が少なかったので一週間後再び訪れると、沢山の花が人知れず集っていました。
ホースマン45FA/ニッコールW75mmF4.5/f32半・15秒/RVP50/愛知県設楽町/2008年10月19日12時56分
13 色うつり(いろうつり)
茶臼山高原からの帰り道、国道151号線に出たところで見事に色づくモミジが待っていてくれました。絶妙に染まっていく自然の神秘に感動し、深まりゆく秋の時間の流れを感じました。夕方の谷間の日陰でかなり暗かったので、ブレないよう慎重に撮影しました。
ハッセルブラッド503CW/テレ・アポ・テッサーCF500mmF8/f16半・1秒/RVP100/愛知県豊根村/2006年11月4日16時23分
隔月刊『風景写真』2007年9-10月号 テーマ部門 優秀作品賞
14 秋空を見上げ(あきぞらをみあげ)
秋の午後、色付いた一本木が斜光に映えていました。周りのススキと共に空に向かい、思いっきり手を上げて背伸びしているようでした。遠景のうろこ雲と頭上のはぐれ雲は、秋の印象を更に強くしてくれました。
ハッセルブラッド903SWC/ビオゴンCF38mmF4.5/f16半・1/4秒/RVP/PL/愛知県豊根村/2007年11月4日15時32分
隔月刊『風景写真』2010年9-10月号 組写真部門 最優秀作品賞(3/4)
15 霧に映えて(きりにはえて)
根羽村側の茶臼山周遊道路で霧の中に、柔らかな色合いの紅葉を見つけました。かなり雨が降っていたので、車から降りることも迷うほどでした。揺れが止まるのを粘り強く待った甲斐有って、このシーンを残すことができました。
マミヤRZ67ProⅡ(6×6ホルダー)/マミヤセコールズームZ100~200mmF5.2W(160)/f11半・1.5秒/PL/RVP50/長野県根羽村/2011年10月23日12時45分
16 束の間の舞台(つかのまのぶたい)
平谷峠で夜明けを撮影した後、峠を下ると運良く紅葉したヤマザクラに降り注ぐような光芒に出合いました。桜の葉は決して派手ではありませんでしたが、逆光に映えていました。露出に悩んで撮影した直後、光芒は消えてしまいました。
マミヤRZ67ProⅡ/マミヤセコールズームZ100~200mmF5.2W(140)/f32・1/4秒/RVP50/長野県売木村/2009年10月18日7時30分
2011年 第7回 美しい風景写真100人展に出品
17 錦秋の川辺(きんしゅうのみずべ)
稲武の大井平は、秋になると紅葉狩りの観光客で賑わいます。吊り橋の架かった名倉川沿いにもモミジが多く有り、流れと組み合わせて撮影することができます。雨に濡れて艶やかなモミジをより良い描写で残そうと大判カメラで撮影しました。
ホースマン45FA/CMフジノンW150mmF5.6/f32 2/3・8秒/PL/RVP50/愛知県豊田市/2008年11月16日12時35分
18 落葉のゆくえ(おちばのゆくえ)
根羽村の小戸名渓谷です。11月も後半になると秋も終盤を迎え、風の強く吹いた後は渓流に落葉が漂う光景に出合えます。水辺に近づき、どこへ流れ着くのか分からない落葉を画面一杯に入れてみました。
マミヤ6/G50mmF4L/f16 1/3・4秒/PL/RVP50/長野県根羽村/2010年11月28日15時10分
19 流れのままに(ながれのままに)
「落葉のゆくえ」と同じ場所です。この時は漂う落葉は、それほど多く有りませんでした。流れる軌跡が渦になるようにシャッター速度を設定して何枚も撮影しましたが、バランス良い絵柄は、数少なかったです。
マミヤ6/G75mmF3.5L/f16半・8秒/PL/RVP/長野県根羽村/2005年11月12日15時11分
20 天空へ続く道(てんくうへつづくみち)
極軸を中心に回る星と地上を走る車のテールライトの軌跡を組み合わせました。なだらかなシルエットは茶臼山です。星とライトの明るさをそろえるためライトの撮影時は、3絞り分余分に絞り込んでいます。
ハッセルブラッド903SWC/ビオゴンCF38mmF4.5/f5.6・62分+f16・3分/RVP100/長野県根羽村/2007年11月17日4時30分~
2007年 第5回奥三河フォトコンテスト 茶臼山部門 特選
21 こな雪の舞(こなゆきのまい)
茶臼山高原道路にて樹形の良いところで、雪降りを撮影していました。突然強い風が吹き車の屋根に積もった雪が飛ばされた瞬間、思わずシャッターを切りました。すると、うまい具合に前ボケの入った降雪の雰囲気になっていました。
ハッセルブラッド503CW/SaゾナーCF250mmF5.6/f8半・1/125秒/RVP100/愛知県設楽町/2008年2月24日8時30分
22 雪持ちの柿(ゆきもちのかき)
初雪をまとった根羽村黒地の柿の木です。当時は雪道での運転の経験が浅く、必死で峠を越えて、やっとたどり着いたことを思い出します。現地では、頭に思い描いていたような光景が待っていました。
マミヤ6/G15mmF4.5L/f22半・1秒/RVP/長野県根羽村/2005年12月4日15時00分
23 陽光の恵み(ようこうのめぐみ)
シーズン最初の寒波がやって来る12月初旬、茶臼山高原の樹木には霧氷が付き冬ならではの美しい風景に出合うことができます。肌に突き刺す寒気も、日の出の光により急速に和らいで行きます。霧氷も一瞬オレンジ色に染まり、いっそう温もりを感じます。
ハッセルブラッド503CW/SaゾナーCF250mmF5.6/f11・1/2秒/RVP/長野県根羽村/2006年12月3日6時45分
24 風雲渡る(ふううんわたる)
「陽光の恵み」を撮影した後、太陽を背にして見ると霧氷が青空に映えていました。西風により、揺れる手前の枯れ草と次々に流れてくる雲のタイミングを計りながら撮影しました。
マミヤ6/G50mmF4L/f11 1/3・1/8秒/PL/RVP/長野県根羽村/2006年12月3日8時14分
25 凛として(りんとして)
茶臼山高原では、年に数回霧氷の付く日が有ります。この日は、幸運にも霧氷の化粧をした一本木が茶臼山を背景に、凛とした姿で待っていてくれました。僅かに枝先が揺れていましたが、1/15のシャッター速度で止めることができました。
マミヤ6/G50mmF4L/f11・1/15秒/PL/RVP/長野県根羽村/2006年2月5日7時52分
26 凍る枝先(こおるえださき)
冬になると津具グリーンパークでは、駐車場の横で木々に水をかけて凍らせています。寒々とした色彩の背景に形良く曲がった枝が伸びていました。そんな中で、枝先には小さいながら新芽がこれから来る季節に向けて準備をしている様でした。
ハッセルブラッド503CW/ゾナーCF250mmF5.6/f16・1秒/RVP/PL/愛知県設楽町/2006年1月22日14時20分
27 冴える蓮池(さえるはすいけ)
売木村の向原蓮池です。氷上に降り積もった雪が適度に残り、美しい模様を描いていました。蓮の影が印象的だったのですが、撮影時には薄くなってしまい残念でした。この場面の切り取りに適した6×12ホルダーを使用して撮影しました。
ホースマン45FA(6×12ホルダー)/アポシロナーN210mmF5.6/f22・1/8秒/PL/RVP50/長野県売木村/2010年12月26日10時15分
隔月刊『風景写真』2015年11-12月号 口絵に掲載