奥山河 風景絵巻
 

私が撮影で常用しているフィルムフォーマットは、「望郷の景」で使った6×7判とその他に6×6判、6×12判があります。「風景絵巻」では、後者のフォーマットの作品を展示しています。四季を通して奥三河の風景としての美しさを伝統的な屏風や和服の絵柄などになぞらえています。
風景写真は自然相手なので、一種類の縦横比ではどうしても表現できない場合があると考えています。残しておきたい風景に出合ってもうまく切り取ることが出来ない場合は、フォーマットをかえると解決する時がよくあります。
また、フィルムサイズでは大判にはかないませんが6×12判はとても広がりのある風景を撮影することができ、4×5判のクイックロードが手に入らなくなったことにより多用するようになりました。

1 目覚めの時(めざめのとき)
新城市の梅園は川売が有名ですが、ここは鞍掛山を背景に望める方瀬地区の梅園です。朝日が山の稜線から顔を出した瞬間、梅花は目を覚ましたかのようにその表情を変えていきました。散った花びらは、黒い地面をほどよく隠してくれました。
ハッセルブラッド903SWC/ビオゴンCF38mmF4.5/f16・1/15 秒/RVP50/ハーフND/愛知県新城市/2008年3月21日6時20分

2 千の桜花(せんのおうか)
豊根村のみどり湖の周りには、数えきれないほどの桜が植樹されています。その中でもこのしだれ桜は見事で、ちょうど駐車場になっていることもあり大勢の花見客が訪れます。日の当たらない早い時間帯に撮影することにより、青みがかった色調にして清涼感を出しました。
ホースマン45FA(6×12ホルダー)/ニッコールW210mmF5.6/f22 2/3・10秒/RVP50/愛知県豊根村/2010年4月11日5時45分

3 惜春の舞(せきしゅんのまい)
4月中頃、設楽町の福田寺の小さな池では、花筏がゆっくりと動いていました。まさに季節の流れを感じました。水面全体にピントが入るようにフレックスボディのアオリ機能を使ったのですが、シャッターを切る直前にファインダーで像を確認できないのが難点でした。
ハッセルブラッドフレックスボディ/ゾナーCF150mmF4.0/f32・2秒/RVP50/愛知県設楽町/2011年4月17日14時50分


4 若葉の息吹(わかばのいぶき)
伊那街道沿いの桧原川で遠目に綺麗な若葉を見つけました。足場の悪い河原を乗り越え近づくと思い描いていたような新緑と流れの光景がありました。谷間に差し込む光の加減と揺れ始めた枝先を気にしつつ、瀬音にかき消されるシャッター音を聞き逃さないように耳を澄ませて撮影しました。
ホースマン45FA(6×12ホルダー)/ニッコールSW75mmF4.5/f16 1/3・1秒/RVP50/PL/長野県根羽村/2010年5月9日8時14分

5 朱色の滝かざり(しゅいろのたきかざり)
根羽村の渓流のあちこちにイワサツキの花が咲く頃、この滝の株にも花が付かないかと毎年気にしていました。この年はじめてタイミングが合い、念願の光景を撮影することができました。厳しい環境の中で、可憐でありながら逞しいイワサツキに感動しました。
ハッセルブラッド503CW/SaゾナーCF250mmF5.6/f16 1/3・1/2秒/RVP100/長野県根羽村/2006年7月9日11時50分

隔月刊『風景写真』2009年5-6月号 テーマⅠ部門[滝] 準優秀作品賞

6 梅雨晴れの朝(つゆばれのあさ)
茶臼山山頂の展望台からは、幾重にも折り重なる山なみを見渡すことができ、運が良ければ雲海を撮影することもできます。この日はちょうど梅雨が明け、爽やかな空気に包まれていました。
ホースマン45FA(6×12ホルダー)/ニッコールSW75mmF4.5/f22 1/3・1/8秒/RVP50/長野県根羽村/2010年7月17日5時08分

7 染まる山なみ(そまるやまなみ)
数年前、9~10月にかけて茶臼山山頂の展望台に通った時期がありました。夜明け前、霧の流れる中、辺りは淡い赤色に染まり、またとない幻想的な光景に出合うことができました。揺れやすい展望台での撮影なので、望遠レンズがぶれないようにそっとシャッターを切りました。
ハッセルブラッド503CW/SaゾナーCF250mmF5.6/f16 1/3・6秒/RVP50/長野県根羽村/2011年10月9日5時35分

8 色めく渓谷(いろめくけいこく)
茶臼山高原から国道151号線に向かい山道を下った所の対岸の紅葉です。色彩豊かに色づき始めた木々に、自然の妙を感じました。青葉をある程度入れることで、紅葉が一層鮮やかに見えます。
ホースマン45FA(6×12ホルダー)/SジンマーXL110mmF5.6/f22 1/3・4 秒/RVP50/PL/愛知県豊根村/2010年11月7日15時00分

9 流れにまかせ(ながれにまかせ)
晩秋の小戸名渓谷です。紅葉がピークを過ぎた頃、風が強めに吹いた日に狙いました。この時は、流れが渦を巻く場所に思いの外沢山の落ち葉が漂っていました。以前に撮影した時のデータから、落ち葉の軌跡が綺麗に描写されるようにシャッター速度をを8秒に決めて何枚も撮影しました。
ホースマン45FA(6×12ホルダー)/SジンマーXL110mmF5.6/f32・8秒/RVP50/PL/長野県根羽村/2010年11月28日12時50分

10 霜化粧(しもげしょう)
茶臼山北側の売木峠で、ふかふかに積もった落ち葉の上に霜が降りていました。形の良い葉を目をこらして探しました。接写リングを使用しての撮影のため、手間がかかり、自分の体温で霜が急速に解けていくのがわかりました。
ハッセルブラッド503CW/マクロプラナーCF120mmF4.0+接写リング56E/f22・1/2秒/RVP100/長野県売木村/2006年12月16日8時08分

隔月刊『風景写真』2015年11-12月号 口絵に掲載

11 白雲渡る(しらくもわたる)
雪化粧をした山と青空の組み合わせは、茶臼山のみならず美しい冬の被写体であります。左に特徴的な形をした樹木を添え、空には流れてくる白雲を配して臨場感を出しました。他の季節では代わり映えしない風景も、冬は雪や氷によって絶景に変わります。
ホースマン45FA(6×12ホルダー)/CMフジノンW125mmF5.6/f22・1/8秒/RVP50/PL/愛知県豊根村/2013年12月22日12時25分

森上 倍名

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