奥山河 美しき日々

2013年3月、RPダイレクトプリントが終了する時期に、これまでに隔月刊『風景写真』のフォトコンテストで入賞したり口絵で掲載されたりした作品を数十枚プリントしておきました。当時は展示する予定も無いのに思い切ったことをしたものだと振り返っています。その後、2014年に「奥山河 望郷の景」で第18回前田真三賞を受賞し、その作品展を茶臼山 高原の美術館で開催することができました。そして、引き続き作品展開催の機会を頂くことができました。
本写真展「奥山河 美しき日々」は、これらのプリントを中心に使い、今までに出合った奥三河の美しい風景を今一度思い起こす内容になっています。

1 桜晴れ(さくらばれ)
豊根村役場の近くを走行中、小高い所にしだれ桜が見えました。近づいてみると小さな公園に2本の大樹がありました。見上げれば青空を背景に気持ちよさそうに揺れていました。時折現れる白雲を入れて変化を付けました。
マミヤ6/G50ミリF4L/f11・1/15秒/RVP/PL/愛知県豊根村/2006年4月16日13時10分
隔月刊『風景写真』2011年3-4月号「フォトブックプレミア作品集」の表紙に使用

2 千の花束(せんのはなたば)
三河三石道の駅を浜松方面に少し行ったところの道沿いに見事な山桜があります。風の収まった夕方、できるだけ多くの花びらがより細密に描写されるように大判カメラで撮影しました。
ホースマン45FA/アポ・ロナー300ミリF9/f22半・4秒/RVP/愛知県新城市/2008年4月6日18時

3 石にとどまる(いしにとどまる)
根羽村の桧原川には、石の上に生えているような山桜があります。正確にはわかりませんがそのように見えます。どうしてこのような状態になったのか不思議でなりません。花びらが逆光に輝き、目覚めの背伸びをしているようでした。
マミヤ6/G50ミリF4L/f22・1/4秒 /RVP/長野県根羽村/2003年4月27日9時10分

4 池に咲く(いけにさく)
池の水面に散り落ちた後、虚像の世界でもひと花咲かせた桜花に「お見事!」と拍手を送りたい気持ちで撮影しました。太陽の映り込みを入れ、アクセントを付けました。
ペンタックス645NⅡ/A645 45-85ミリF4.5(ワイド側)/f19・1/8秒/RVP50/愛知県設楽町/2008年4月12日10時
隔月刊『風景写真』2010年5-6月号 リバーサル部門 最優秀作品賞

5 霧美人(きりびじん)
面の木のミツバツツジには、やはり霧が似合います。雨の日は撮影するのに大変苦労するのですが、霧が期待できて雰囲気のある写真が撮れます。形の良い木を探し、あまり絞り込まずに柔らかい描写で仕上げました。
ハッセルブラッド503CW/SaゾナーCF250ミリF5.6/f5.6 2/3・1秒/RVP/愛知県設楽町/2007年5月6日10時30分

6 ユキザサ咲く森(ゆきざささくもり)
茶臼山 高原の美術館主催の花めぐりフォトハイキングでのひとコマです。なんともかわいらしいユキザサの群生を手前に、立木とシダのバランスを見ながらむせ返るような茶臼山の緑の森を表現しました。
マミヤ6/G50ミリF4L/f22・13秒/RVP/PL/愛知県豊根村/2008年5月25日11時25分
隔月刊『風景写真』2009年3-4月号 リバーサル部門 準優秀作品賞

7 若葉萌ゆ(わかばもゆ)
気持ちよさそうに若葉を広げているのは、ミズキでしょうか。白いつぼみを付けて、まるで深呼吸しているかのよう。奥には遠慮気味にヤマフジが色を添えていました。萌黄色は、急速にその濃度を増して、深い緑に覆われてしまいます。
ホースマン45FA/ニッコールSW75ミリF4.5/f32半・8秒/RVP/PL/愛知県設楽町/2003年5月11日7時55分
隔月刊『風景写真』2011年7-8月号 【特別招待席】掲載

8 水無月の森(みなづきのもり)
設楽町の県道427号線を走ると至る所で道沿いにコアジサイを見ることができます。霧の杉林を背景に梅雨に濡れるコアジサイは、この時期の奥三河を代表する風景です。
マミヤ6/G50ミリF4L/f11 1/3・4秒/RVP/PL/愛知県設楽町/2006年6月11日10時25分
2008年 第6回奥三河フォトコンテスト 入選

9 潤いの中で(うるおいのなかで)
設楽町と豊根村の境付近の大入川で撮影しました。イワサツキの紅色がとても印象的でした。取り囲む緑の植物は、この季節特有の湿り気を帯びて生き生きしていました。
ハッセルブラッド503CW/SaゾナーCF250ミリF5.6/f11・1秒/RVP/愛知県設楽町/2007年6月23日16時12分
隔月刊『風景写真』2010年11-12月号 組写真部門 準優秀作品賞(2/4)

10 後光(ごこう)
茶臼山で夜明けを撮影した後、高原道路を下り折元で降たところで目の前に突然光芒が現れました。大急ぎで撮影場所を設定し、光芒が消えないようにと願いながら露出に迷ったことを思い出します。
マミヤ6/G150ミリF4.5L/f22半・1/30秒/RVP/愛知県設楽町/2005年6月15日6時12分

11 夏色のにぎわい(なついろのにぎわい)
夏の花といえば、ヒマワリ。茶臼山周辺では平谷村が知られていますが、この年は売木村にも咲いていました。かたわらには濃い葉を茂らせたしだれ桜が、自分の満開だった頃を懐かしむように佇んでいました。
ホースマン45FA/フジノンT400ミリF8/f32半・1/2秒/RVP/長野県売木村/2007年8月25日13時10分
隔月刊『風景写真』2011年7-8月号 【特別招待席】掲載

12 夏の余韻(なつのよいん)
霧雨の中にひっそりと佇むテーブルを見ていると、夏の野外活動などで来ていた子ども達のにぎわいが聞こえるようでした。右手前の大樹を多く入れ、霧の白い部分の画面に占める割合を調整しました。
マミヤ6/G50ミリF4L/f5.6半・1/8秒/RVP/愛知県豊根村/2006年7月16日10時28分
隔月刊『風景写真』2010年9-10月号 組写真部門 最優秀作品賞(2/4)

13 人知れず(ひとしれず)
設楽町のとある渓流です。この年は、水害で流されることも無く、きれいに大文字草が咲いていました。背景のうっそうとした森は、この地を人目から遠ざけているようでした。
ハッセルブラッド903SWC/ビオゴンCF38ミリF4.5/f16・4秒/RVP50/PL/愛知県設楽町/2010年10月17日14時12分

14 野菊とうろこ雲(のぎくとうろこぐも)
茶臼山高原の丘にある一本の木は、格好の被写体で訪れるたびに何か撮影できないだろうかと様子を見に行きます。この日は、地上の野菊と上空のうろこ雲が対称になる面白さを超広角レンズの深い被写界深度を使い撮影しました。
ハッセルブラッド903SWC/ビオゴンCF38ミリF4.5/f22・1/4秒/RVP50/PL/愛知県豊根村/2012年10月14日11時
隔月刊『風景写真』2015年11-12月号 口絵に掲載

15 ささやかな秋(ささやかなあき)
茶臼山高原の周遊道路の雑木林で細い幹にバランス良く紅葉を配した木々を見つけました。葉の枚数は少なかったものの、どことなく気品がありました。背景をできるだけ整理し、揺れが収まるのを待ち撮影しました。
ハッセルブラッド503CW/ゾナーCF250ミリF5.6×1.4/f11 1/3・1/4秒/RVP100/長野県根羽村/2007年10月28日8時5分
隔月刊『風景写真』2015年11-12月号 口絵に掲載

16 うつろう彩り(うつろういろどり)
秋雨の中、微妙に色づきが変化するモミジが川辺に佇んでいました。多少傷み始めている葉もありましたが、雨に濡れてあでやかに見えました。毎年ここを訪れますがタイミングが合わず、モミジ全体を撮影したのはこの時だけです。
マミヤ6/G75ミリF3.5L/f22・8秒/RVP/PL/長野県売木村/2001年10月28日10時10分
隔月刊『風景写真』2010年11-12月号 組写真部門 準優秀作品賞(3/4)

17 錦の森(にしきのもり)
豊田市稲武地区の大井平は、秋になると紅葉狩りの観光客で賑わいます。散策路から見上げると透過光に映えるモミジが頭上を埋め尽くしていました。超広角レンズを使い目一杯の紅葉を入れ込み、太陽の煌めきをアクセントにしました。
ペンタックス645/A645 35ミリF3.5/f16AE(+1.0ev)/RVP/愛知県豊田市/1998年11月22日8時

18 夕日に映えて(ゆうひにはえて)
夕方まで茶臼山に居ることはあまりないのですが、この日は夕日に照らされた芹沼池を撮影できる条件だったので残っていました。湖面に映り込んだ紅葉は、芹沼池をよりいっそう鮮やかに見せていました。
ホースマン45FA/CMフジノンW150ミリF5.6/f32半・1秒/RVP(2/3ev増感)/ハーフND(H0.3)/愛知県豊根村/2007年10月28日16時27分

19 夜明け待つ老木(よあけまつろうぼく)
かつて茶臼山山頂には、奇妙な形のブナの老木が有りました。いつからそこに立ち、風雪に耐えながら幾度の夜明けを迎えたことか、誰も見たことがない様な素晴らしい夜明けも見たに違い有りません。
ハッセルブラッド903SWC/ビオゴンCF38ミリF4.5/f8・51分/RVP100(1ev増感)/愛知県豊根村/2008年10月12日4時8分
2009美しい風景写真100人展に出品

20 霜月の朝に(しもつきのあさに)
青葉に付いた霜と緑の色彩が鮮やかで、そこに落ち葉が寄り添っていました。中央の葉はお父さん、左側はお母さん、右側はその子ども。青葉より一足早く落葉した家族は、深まり行く秋の中でこれから来るであろう厳しい冬を予感させるものでした。
ハッセルブラッド503CW/マクロ・プラナーCF120ミリF4+E32/f22半・8秒/RVP/PL/長野県売木村/2006年11月25日10時50分
隔月刊『風景写真』2010年1-2月号 テーマ部門 準優秀作品賞

21 冬色の水辺(ふゆいろのみずべ)
この写真を撮影した年の渓流には、ギザギザした形の氷が張ったのを数回目撃しました。氷は次第に解け始めていましたが形が美しく、晴れの日陰と言うこともあり綺麗な青い色調の中で取り残された秋を表現しました。
ハッセルブラッド503CW/SaゾナーCF250ミリF5.6+E32/f32・4秒/RVP/PL/長野県根羽村/2008年1月27日13時40分
隔月刊『風景写真』2010年7-8月号 リバーサル部門 準優秀作品賞

22 寒流のオブジェ(かんりゅうのおぶじぇ)
根羽村の桧原川でつららを探していた時に見つけた氷の冠です。岩の上に積もった雪が解けたり凍ったりを繰り返す間に、渓流の水しぶきが飛んで凍り付き、つららを成長させたのでしょうか。自然の創り出す造形は、時に想像を超えていると感じました。
ハッセルブラッド503CW/ゾナーCF250ミリF5.6/f22・1秒/RVP/PL/長野県根羽村/2004年1月11日11時10分
隔月刊『風景写真』2015年11-12月号 口絵に掲載

23 ラストステージ(らすとすてーじ)
薄氷が張った向原蓮池です。老いた蓮が一年を締めくくる最後の舞台に力を振り絞り立ち尽くしているようでした。朝日が反射したスポットライトは見る見る強くなり、露出の選択に困難を極めました。
ハッセルブラッド503CW/SaゾナーCF250ミリF5.6×1.4/f45 1/3・1秒/RVP50/PL/長野県売木村/2009年12月29日8時6分

24 静寂の中で(せいじゃくのなかで)
奥三河で初めて本格的な雪景色を大判カメラで撮影した時の一枚です。日陰の新雪が蒼く描写され、山間の静けさと冷気が漂う雰囲気に仕上げました。
ホースマン45FA/ニッコールW210ミリF5.6/f45・1秒/RVP/愛知県東栄町/2004年1月18日10時58分

25 明けるカラ松林(あけるからまつばやし)
高原に到着した時は、すでに日の出直前でした。あわてて霧氷しているカラ松の並びが良いところを探し、露出を考えました。厳寒の高原が、朝日の恵みにより次第に暖められて行くのがわかりました。
マミヤ6/G50ミリF4L/f5.6・1/15秒/RVP/愛知県豊根村/2006年2月5日7時
隔月刊『風景写真』2010年9-10月号 組写真部門 最優秀作品賞(4/4)

26 白い紋様(しろいもんよう)
初冬の茶臼山高原矢筈池に見られる雪の紋様です。自然の描く造形は、時としてこの上なく美しく神業だと思うことがあります。形の良いところを慎重にフレーミングし、白色がアンダーにならないよう注意しました。
マミヤRZ67PROⅡ(6×6ホルダー)/マミヤセコールズーム100~200ミリF5.2W(160ミリ域)/f16 1/3・1/2秒/RVP50/愛知県豊根村/2011年12月18日8時23分

27 厳寒の衣(げんかんのころも)
茶臼山と青空を背景にびっしりと付いた霧氷を超広角レンズで目一杯に入れ込みました。風が強く吹いていたので、速めのシャッター速度を選び枝先の揺れを抑えました。
ハッセルブラッド903SWC/ビオゴンCF38ミリF4.5/f16 2/3・1/60秒/RVP/長野県根羽村/2007年12月16日9時58分
2009年 第7回奥三河フォトコンテスト 茶臼山部門 優秀賞

森上 倍名

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